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ヘテロジニアスマルチコア(Heterogeneous multi core)

ヘテロジニアス・マルチ・コアは、ホモジニアス・マルチ・コア(Homogeneous multi core)と対比される概念
である。異なる種類の(ヘテロジニアス)CPUコアを複数使用したコンピュータシステムのCPUコアの構成を言う。
古くからある同じ種類の(ホモジニアス)CPUコアを並べるホモジニアス・マルチ・コアに対して、比較的最近に なって注目されるようになった構成方法である。

コンピュータに要求される負荷が重くなるにつれ、単一CPUのシングル・コアの高速化がまず追求され、 クロック周波数の高速化、スーパスカラー化に代表されるようなIPC値の高速化が進んだ。しかし、 クロック周波数にせよ、IPC値にせよ、そのその向上が頭打ちとなるに及んで、複数のプロセッサ・コアを使う マルチプロセッサ化が急速に進んだ。現時点(2013年)において、ほとんどのパーソナルコンピュータやスマートフォン などのCPUはマルチ・コア化されている。ただし、同一コアを並べたマルチプロセッサ化にも、大きく複雑なCPUコアを 複数ならべることの無駄や、コア数を無暗に増大させてもメモリやバスなどのボトルネックから性能が頭打ちと なってしまうような問題も出てきた。

このようなホモジニアス・マルチ・コアの問題を解決すべく現れたのがヘテロジニアス・マルチ・コアである。 均一でない異なったコアを用意しておいて、仕事の種類や負荷に応じて適切なコアを割り当てて仕事をさせることで ホモジニアス・マルチ・コアのかかえる無駄や性能頭打ちの問題を打破しようとしている。

しかし、ヘテロジニアス・マルチ・コアといっても実に多種多様な構成が考えられており、目的、用途、性能、コスト なども千差万別である。同じ命令セットを持つが規模と性能の異なる複数のコアを組み合わせた、主として低負荷時の 消費電力削減を狙ったようなシステムから、汎用のコアとグラフィクス専用のコアを組合わせ、描画性能を 高めたもの、ソフトウエアの各処理毎に細かく最適化した小型なコアを多数組合わせることで、性能と ハードウエア量のバランスを向上したものなど、いろいろな方向がある。


トプスシステムズでは「アーキテクチャ、アルゴリズム最適化」を標榜しており、処理すべきソフトウエア内の 細粒度なアルゴリズムにまで踏み込んだ最適化とそれに最適な多種のコアを組み合わせるタイプのヘテロジニアス・ マルチ・コアを提供している。

詳しくは 『トプスシステムズのセントラルドグマ、「アーキテクチャ、アルゴリズム最適化」』を参照されたい。


複合命令(Combined Instruction)

複合命令といって英語で書くときに 『Complex Instruction』と書く場合もあるが、 それは、CISC(Complex Instruction Set Computer)という概念(RISC=Reduced Instructin Set Computerと 対比される)を説明するときに使われる用語だ。ここでとりあげるのは複合命令といっても 『Combined Instruction』と書くべき概念である。なぜかと言えばトプスシステムズはRISCプロセッサを基本にしている 会社であり、そこに現れる概念を説明しようとしているためであり、CISCにおける『Complex Instruction』とはちょっと違うからだ。

さて一般的にRISCプロセッサというと簡単な命令だという理解であるが、 何が簡単で何が簡単でないのかは明らかではない。それより明確であるのは、ほとんどの命令が1サイクルという 基本のクロックサイクルで実行されるように設計されているプロセッサがRISCだという理解だ。 そんなRISCでも複合命令はありえる。例えば、掛け算命令とシフト命令を組み合わせて1命令にするといった具合。 当然、今まで2命令以上かかって処理していた処理を1命令で処理できるようになる。 そこでも歯を食いしばって(?)1サイクルで実行できるようにする、というのがRISCのRISCたる所以である。

そんな複合命令は、処理すべきソフトウエアのアルゴリズムによっては劇的な効果をもたらす。 何度も繰り返されるシーケンスが一つの複合命令の導入で、一気に時間短縮されるからだ。 しかし、複合命令に欠点が無いわけではない。あまり複雑な演算をしようとすると、 回路的な動作周波数が落ちてしまう。結果、複合命令が足を引っ張って 全体の速度が上がらないということにもなりかねない。

ここぞ、というときに良く練りこんでから処方するのが複合命令の勘所である。







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