スペシャルコンテンツ >> 顧問コラム >> 『風月無尽の無何有の郷(松風亭 雅山)』
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ツイート | 2015/5/1 | 松風亭 雅山 |
風薫ります五月と相成りました。
さて、昨年の4月にも少しふれました川端康成の作品の中では、千羽鶴、美しさと哀しみと、古都などが大好きです。
日本で最も美しい文章を書いたと評されますように、美の極致で御座います。
千羽鶴の解説に記した山本健吉の文は、この深い美しさ溢れます作品をよく表現していると思います。
『太田夫人の美しさは、すぐその後に崩壊が待っているような、はかない美しさであり、ここではその滅びの美しさが、
絶えず死を意識することによって鋭ぎすまされた虚無的な眼によって捕えられるのである。
死ぬことによって生きる外ない無償の美しさである。だが、現実的に見れば、それは中年女の匂うような肉感性である。
・・・ それは肉感的なものであればあるだけ、罪の意識があとに残り、母の口紅がついたように赤みがかって見える志野の筒茶碗は、その死後、
娘の文子によって打ちくだかれねばならない。』
サイデンステッカー氏の訳書の裏表紙の寸描も好きです。
Thousand Cranes is the story of Kikuji, a sensuous young bachelor who is trapped in the ugly shadow of his father's past by the woman his father loved. It is a shattering, poignant story of love, guilt and death in modern Japan.
"...Yasunari Kawabata has won a prominent place among modern Japanese writers. His penchant is for the subtle tracing of ...love from the purity of innocence to the bleakness of guilt..."
- New York Times
"Kawabata's small, taut, tender novel has the quality of the best Japanese writing: a stunning economy, delicacy of feeling and a painter's sensitivity to the visible world."
- Atlantic Monthly
若尾文子と平幹二朗が演じる日本映画も最高の美しさで御座いました。
作品の中で、円覚寺で二人が初めて逢ったのも、この新緑の季節だったかと思います。
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