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風月無尽の無何有の郷

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2014/6/1 松風亭 雅山

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禅と日本文化の原著者序として、鈴木大拙が記した言葉は、今から74年前の言葉ですが、多くの事を考えさせてくれる言葉です。

最初に読んだのは40年以上前ですが、当時から、そして今も尚、何らかの普遍的な意味を持つ言葉を幾つか含んでいるように思えます。

『近頃の邦人は亀の子のように頭や足をすっこめて固くなる一方のようにも見えるが、ほんとうに生長するには思想的にも精神的にもまた外延する必要があると自分は信ずる。ことに無価の宝を懐く自分らではないか。


・・・英国の諸大学で講演の節、ケンブリッジ大学でトリニティカレジの客房で一二泊した。教授や上級学生が一緒に集まる食堂で会食した。

その時の献立表が日附までフランス語であったので、主人のブロード教授に尋ねると「それは創立以来の慣例なのだ」と。

つぎの日、校長役宅の庭を案内の者に芝生の見事なるを賞めたら、「それは三百年来のものだ」と。

英国人の貴族気質および保守気質がさまざまの意味で、今日の英国を作ったのである。あるひとは英国人を偽善者だという。あるひとは最も教養ある民族だという。


・・・日本の歴史を通じて、最も典型的な日本人は誰だというと、上杉謙信、伊達政宗、千利休などを挙げてみたくなる。

こんな人々を今日活かして、各方面に世界の舞台に上せたら、どんな役割を演ずることだろうか。人物本位の日本文化観もまた意義あるものと考える。』


ケム川に掛かる沢山の橋、・・・キラキラと輝く川面をPunt(平底の小舟)が行き交い、・・・水と緑のコントラスト、・・・

印象画の風景のような初夏の清々しい陽光眩いケンブリッジを想い描きながら、筆を置きます。


・・・丁度1年前の2013年6月は、同じブリテン島の心底浪漫溢れます夢幻の北の都にふれました。





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